艸居

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「Aimer lire」Jean-Philippe Toussaint

2015年4月17日(金)~5月3日(日)



			
				
ジャン=フィリップ・トゥーサン。1957年11月29日、ブリュッセル生まれ。
 父イヴォンはベルギー有力紙「ル・ソワール」の編集長を長らく務めたジャーナリストで、歴史小説を数冊刊行している小説家でもある。また、母モニクの経営する書店は、フランスの作家たちを招待して随時、朗読会や講演を開催。ブリュッセルの重要な文化スポットとして知られる。
 ジャン=フィリップは高等教育をパリで受け、グラン・ゼコールと呼ばれるエリート校の一つ、パリ政治学院で歴史を研究、博士号執筆資格(DEA)まで取得した。しかし研究者の道を選ばず、兵役の代わりとしてアルジェリアで教職についていたときに書いた小説『浴室』により、1985年、ミニュイ社から作家としてデビュー。以後、作品はすべてミニュイ社から刊行されている(邦訳はすべて集英社刊)。鮮やかな視覚的描写と流麗な文体、そして飄々としたユーモアが溶け合ったその作品世界に対する評価は、いよいよ高まっている。
 また、学生時代から熱心な映画ファンだったが、『浴室』がジョン・ルヴォフ監督によって映画化(1989年)された際に脚本を担当したことを契機に、映画制作を志す。姉アンヌ=ドミニク・トゥーサンのプロデュースにより自作『ムッシュー』(90年)を映画化。さらに『カメラ』にもとづく『セヴィヤーヌ』(92年、日本公開時の邦題は『カメラ』)、オリジナル脚本による『アイスリンク』(99年)と監督経験を重ねている。写真展を開催したこともあり、オブジェ制作も手掛けるなど、活動は多岐にわたるが、近年は『愛しあう』(2002年)を第一弾とする連作(四部作になると噂される)の執筆に意を注いでいる。
 『テレビジョン』でベルギー最高の文学賞ロッセル賞、『逃げる』(2005年)でフランス四大文学賞の一つメディシス賞、『マリーについての真実』(2009年)でフランスの文学賞として最高の賞金額を誇るデサンブル賞を受賞。
 妻マドレーヌはコルシカ島出身。長男ジャン、長女アンナの四人家族。1994年の初来日以来、来日は10回を超え、その都度、講演会やサイン会をとおして読者との交流を深めている。 (2009年11月21日 野崎歓)
 
日本での活動
◾京都市ヴィラ九条山に滞在 1996年9-12月
◾初来日 一橋大学, 東京大学にて講演, NHKニュース出演 1994年1-2月
 
講演
◾「文学、映画そして造形芸術」2013年11月 アンスティチュ・フランセ東京
◾「小説の真実」2013年11月 東京大学
◾「小説をいかに映画化するか『逃げる』をめぐって」2008年11月 学習院大学
◾「映画そして/あるいは小説 『逃げる』をめぐって」2008年11月 東京大学
◾「旅行・移動論 テクストとイマージュ Voyage, texte, image ジャン=フィリップ・トゥーサン 自作を語る」2008年11月 立教大学
◾「トゥーサンと都市」2008年11月 東京外国語大学
◾「トゥーサンによるロブ=グリエ1『新しい小説のために』を読む」「トゥーサンによるロブ=グリエ2『作家の生涯のための序文』を読む」2006年11-12月 東京大学-LAC「文学・芸術の社会的統合機能の研究」
◾「『浴室』20年後」2005年6月 東京大学-LAC
◾「トゥーサンによるシムノン『仕立て屋の恋』を読む」 2005年5月 東京大学-LAC
◾「ジャン=フィリップ・トゥーサン講演会」2005年5月 関西大学
◾「書き、旅する」2005年5月 南山大学
◾「写真とテクスト」2003年12月 上智大学
◾「私はどうやって作家になったか」2003年12月 東京女子大学
◾「〈や〉訳せない心へどのように越境しますか?」2003年12月 ワード資生堂-Word Friday
◾「トゥーサン ワールドカップを語る」2002年6月 明治学院大学
◾「文学と映画」2002年6月 明治学院大学
◾「トゥーサン『アイスリンク』を語る」2000年5月 東京大学
◾1999年1月, 1998年11月 東京日仏学院
◾1998年10月, 1996年10月 一橋大学
◾1994年2月 東京大学, 一橋大学
 
シンポジウム
◾「新しい小説〈ヌーヴォー・ロマン〉から小説の未来へ」パネリスト:ジャン=フィリップ・トゥーサン, 谷昌親, 堀江敏幸, 野崎歓, 2006年11月 東京大学-LAC
◾「不思議の国? ベルギー・フランス語共同体の文学と芸術」パネリスト:ジャン=フィリップ・トゥーサン, 岩本和子, 小林康夫, 野崎歓, 2005年6月 東京大学-LAC
◾「ジャン=フィリップ・トゥーサンとベルギー文化」パネリスト:ジャン=フィリップ・トゥーサン, パトリック・ドゥヴォス, 野崎歓, 2002年6月 東京大学
◾「テレビジョンを消して見えてくるもの」パネリスト:ジャン=フィリップ・トゥーサン, 藤原智美, 野崎歓, 1998年1月 東京国際ブックフェア
 
映像上映
◾「ジャン=フィリップ・トゥーサンを囲んで『逃げる』をめぐって」2008年11月 東京日仏学院
◾「ジャン=フィリップ・トゥーサン特集」1999年11月 第6回大阪ヨーロッパ映画祭

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