艸居

展覧会 exhibitions

「九谷我谷 」 上出惠悟 森口 信一

2014年4月5日(土)~4月20日(日)



			
				
この度、現代美術艸居は、九谷焼 上出惠悟氏と、我谷(わがた)盆 森口信一氏による、「九谷我谷」(くたにわがたに)を開催致します。
石川県の大聖寺川上流の集落、我谷村と九谷村。1950年代後半に着工したダム建設により村は水没、集落は移転を余儀なくされました。しかし、それぞれの地に脈々と伝えられてきた稀代の工藝品、九谷焼と我谷盆に魅せられた二人の作家は、出逢うべくして出逢ったのか、ここに器と盆を超えたコラボレーションを展開することになりました。
人々の心がつないできた日本の美しい伝統、また力強く素朴な工藝が、永遠の時を得んことを祈り、多くの方にご高覧頂きたいと願います。
 上出惠悟氏は、2006年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業後、家業である九谷焼窯元上出長右衛門窯の六代目として活動。東洋で始まった磁器の歴史を舞台にしながら現代に通じる九谷焼を提案されています。2009年にご自身の作品「甘蕉 房 色絵椿文」が金沢21世紀美術館に収蔵されました。主な個展に「幽谷」、「游谷」(共にYoshimi Arts、大阪/2011,2013)、「楽園創造」(αM、東京/2013)、等多数。伝統工芸からも、現代美術からも少し外れた、それも巧妙な外し方をした作品。九谷独特の鮮やかな色、精緻な職人技はそのままに、上出氏独自の斬新な発想を加味し、九谷焼の新しい扉を開かれたように感じます。
 森口信一氏は、1977年京都市立芸術大学美術学部彫刻科卒業。1987年に木工芸家・黒田乾吉氏にのもとで、拭き漆を学ばれました。我谷盆の存在を知ったのは2000年、「あなたの作る作品は我谷盆に似てるね」との黒田乾吉氏夫人の言葉によるものでした。翌年より山中温泉に幾度と通いながら、我谷盆の研究・制作を始め、現在は京都に工房を持ち、我谷盆を牽引する第一人者です。栗の丸太を楔(くさび)で割り、ひとつひとつ違う木の持ち味を尊重した作品は、木が盆となったことで、永遠の命を得たのだと思わせてくれます。森口氏が、自ら“信一盆”と呼ぶのは、それまでは使いきれなかった木の縁を使った、時に木の皮を残したままの我谷盆。陶芸家の鯉江良二氏との二人展:鯉江良二・森口信一展 -土成木成-(現代陶芸サロン桃青、大阪/2012)の時、鯉江良二氏の作品に負けない力強さを求めたのが、その制作の発端だといいます。
 使い捨ての時代にあって、忘れ去られてはいけない日本人の心ともいえる手わざが、二人の作家の手によってアートに昇華した展覧会です。 
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